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東京高等裁判所 昭和51年(行コ)20号 判決

東京都文京区湯島四丁目四番一七号

控訴人

金益三

右訴訟代理人弁護士

古波倉正偉

松山正

有賀功

安藤寿朗

同都台東区東上野五丁目五番一五号

被控訴人

下谷税務署長

本田三二

右訴訟代理人弁護士

小川英長

右指定代理人

今村泰男

佐々木正男

国延哲夫

中川昌泰

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取消す。

2  被控訴人が昭和四二年三月一三日控訴人の昭和三八年分ないし同四〇年分所得税についてした各更正(昭和三八年分及び昭和四〇年分については、審査裁決により維持された部分)を取消す。

3  訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文第一項と同旨。

第二主張

当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実欄「第二ないし第五」記載のとおりであるから、ここにこれを引用する(但し、三丁表三行目、「同年分」を、「右両年分」と、別表二の「2喫茶店分」、番号〈4〉の行の「所得金額」を、「所得金額(〈2〉―〈3〉)と、別表四の「1ゴルフ用品販売分」、番号〈6〉の行の「二、七五七、七〇〇」を「二、七三七、七〇〇」とそれぞれ訂正する。)。

(控訴人)

一  一一丁表八行目の「その余は争う。」の後に、次のとおり付加する。

控訴人は昭和三八年度において、ゴルフ用品販売の業務の用に供する資産取得のための資金を借入れたが、その借入先と借入金利子は次のとおりであり、これは昭和三八年分経費に算入されるべきものである(なお、右借入先別の月ごとの借入金残高は別表八の1のうち昭和三八年分として記載するとおりである。)。

〈省略〉

二  別表六を次のとおり改める。

別表六 昭和三八年分

〈省略〉

(注 △は赤字。以下同じ。)

三  一一丁裏二行目の「その余は争う。」の後に、次のとおり付加する。

控訴人は昭和三九年度において、ゴルフ用品販売の業務の用に供する資産取得のための資金を借入れたが、その借入先と借入金利子は次のとおりであり、これは昭和三九年分経費に算入されるべきものである(なお、右借入先別の月ごとの借入金残高は別表八の1のうち昭和三九年分として記載するとおりである。)。

〈省略〉

四  別表七を次のとおり改める。

別表七 昭和三九年分

〈省略〉

五  一一丁目裏七行目の「その余は争う。」の後に、次のとおり付加する。

控訴人は昭和四〇年度において、ゴルフ用品販売の業務の用に供する資産取得のための資金を借入れたが、その借入先と借入金利子は次のとおりであり、これは昭和四〇年分経費に算入されるべきものである(右借入先別の月ごとの借入金残高は別表八の1のうち昭和四〇年分として記載するとおりである。)。

〈省略〉

六  別表八を次のとおり改める。

別表八 昭和四〇年分

〈省略〉

七  被控訴人は後記のとおり、右当審における主張は時機に遅れた攻撃防禦方法であるというが、下記の理由により当たらない。

本件各更正は控訴人が会員となっている在日朝鮮人台東商工会の組織破壊を目的として行われた不当な政治的弾圧であるため、控訴人は被控訴人に対し極度の不信感と警戒心を抱いており、したがって被控訴人に対し自己に有利な資料でもこれを提出することに強い自己抑制が働いていたのであり、殊に控訴人は訴外朴尚根(同人は右在日朝鮮人台東商工会会員で、控訴人より早い時期に被控訴人から更正処分を受け、これに対し坑告訴訟を提起していた)から、自己の所得算出に有利なつもりで提出した資料は無視されるか又は逆に悪用されるから、資料は出さない方がよい旨を聞いていたし、また控訴人は当時多額の借入金があることを明らかにすれば、むしろ被控訴人からその支払利息の経費算入よりも、それを返済するだけの営業収入なり資力があると見られ、所得は更に多額にのぼるのではないかと追及される不安が大きかったうえ、控訴人は自己の所得算出のため有利な資料を提出することにより、借入先である同和信用組合上野支店(同組合は在日朝鮮人のための公共的金融機関である。)に対し被控訴人から調査を名目とする介入弾圧がなされ、同組合の組合員に迷惑をかけることになることを警戒したため、右支払利息存在の主張の提出を本件訴訟においても差控えざるを得なかったし、また、控訴人は原審においては右支払利息の存在の主張を提出しなくとも、従前の控訴人の主張の範囲で勝訴するものと信じていたこと及び控訴人は右在日朝鮮人台東商工会会長であり、在日朝鮮人の中で信頼ある有力な人士である立場からする体面と日本の社会で生活し営業していくには、納税しているという事実が必要であった。以上の諸事情により、これまで右支払利息存在の主張をしなかったのであり、右主張の提出は民訴法一三九条一項に当たるものではない。

また、被控訴人は本件支払利息の存在については、当然、本件原処分の前後において本件借入先につき調査しその状況を入手していたはずである。このことは、被控訴人は控訴人と同じ時期に更正処分を受けた訴外朴尚根、同洪昌五の所得調査に際し、その金融機関につき調査を行っていることからも明らかである。更に控訴人の如き小企業者にとって借入金が存在し、支払利息の存在を常態としていることは一般であり、このことは被控訴人において最もよく知悉している事柄であるうえ、本件において既に原審証人金太圭が原審昭和四八年一二月六日の証拠調期日において、「控訴人は当時金融機関等から資金の借入をしている。」旨を証言していたのであるから、本件支払利息存在の主張はこれにより当然予測できたのである。これらの点からしても、右主張の提出が民訴法一三九条一項に当たるはずはない。もしこれが時機に遅れたものとして却下されるならば、訴訟経済にも反し、適正な裁判が行われないという不当な結果を招来することになる。

八  別表八の次に別表八の1を付加する。

(被控訴人)

一四丁表八行目見出しの符合「一」を、「三」と改め、その前に次のとおり付加する。

一  控訴人は昭和五二年六月九日当審第六回口頭弁論期日において同日付準備書面に基づき、新たに必要経費(借入金利子の支払)の事実を主張し、その立証として甲第一二ないし第一七号証を提出したが、下記のとおりこれは時機に遅れた攻撃防禦方法であるから、却下されるべきである。

控訴人は、原処分の調査時及び異議申立の審理時並びに審査請求の審査時のいずれにおいても、被控訴人所部の調査担当者らに対し右支払利息の存在については何らの申立をせず、また、本件訴訟提起後原審において昭和四四年三月二七日第一回口頭弁論が開始されて以来、その結審に至るまで三四回、更に当審において昭和五一年八月二四日第一回口頭弁論が開始されてから第五回口頭弁論に至ったが、その間九年間計三九回の口頭弁論が重ねられたにもかかわらず、控訴人は右支払利息の存在については何らの主張もせず、当審における第六回口頭弁論において突如としてこれを主張したのであるから、右主張は時機に遅れた攻撃防禦方法であるといわざるを得ない。

しかも、右支払利息に関する事項については、控訴人が原処分調査時に被控訴人に提出した昭和四〇年分ゴルフ用品販売及び喫茶店営業に係る収支計算書並びに経費明細表(乙第一、第二号証の各一及び三)に何らの記載なく、また、控訴人が昭和四九年一一月二七日の原審第三四回口頭弁論においてその準備書面(九)に基づいて主張した昭和三八年分及び昭和三九年分の所得金額の計算内容にも全く存在しなかった。

そして、控訴人の主張にかかる借入先である御徒町商栄協同組合外三名の事務所の所在は、いずれも、控訴人の事務所(台東区上野六丁目三番二号)の隣接地にあり、控訴人は当時在日朝鮮人台東商工会会長のほか朝鮮人納税貯蓄組合組合長、台東朝鮮人商睦協同組合理事長の要職にあった(そのほか、昭和五〇年二月から同五二年二月まで東京ゴルフ輸入協同組合理事長の職にあった。)のであるから、右各借入先から右支払利息に関する資料は容易に収集しうる立場にあったのにこれを収集しなかったものであり、また、控訴人は右支払利息に関する事項は自己の所得金額を減少させる要因であり、しかも本件訴訟の根幹に係る問題であることを認識していたにもかかわらず、あえてその主張をしなかったのである。

二  仮に右の主張が当審で許されるとしても、その内容は失当である。すなわち、控訴人主張の借入金が存在したとしても、右借入金は控訴人のゴルフ用品販売の事業の用に使用したものではなく、在日朝鮮人台東商工会の会員等に対する融資などに充てられたものである。このことは、控訴人が昭和四〇年分収支計算書等及び昭和三八年分、昭和三九年分各所得計算書の作成にあたって右支払利息を必要経費として掲げず、所得金額からこれを控除することをしなかったこと、控訴人は本件原処分調査に際し被控訴人所部の担当者中川和夫に対し、「私は在日朝鮮人台東商工会会長という立場にあるため会員から金融を頼まれれば、なんとかしてやらなければならないので、借入金はある。」旨を述べていたこと、控訴人と同業種の経営者である訴外金太圭は当時控訴人から金融を受けたこと、在日朝鮮人台東商工会総務部長訴外金源潤は当時同会会員に対し、事業用に使用された借入金にかかる支払利息が必要経費に算入されることについて指導していた点などからして、右商工会会長である控訴人もそのことを当然に理解し認識していたと推認されることなどからみても明らかである。

控訴人はまた、昭和三七年八月文京区湯島四丁目一五一番二宅地九四・一四平方メートルを取得したが、その取得に要した費用は、取得価額(最低)五一二万円、仲介手数料一五万三、六〇〇円、不動産取得税(右宅地の評価額の一〇〇分の三)、登録税(同一、〇〇〇分の五〇)以上、合計五三二万円程度であり、更に控訴人は昭和三八年一月二〇日右宅地上に居宅(木造瓦葺二階建、床面積一階六三・七三平方メートル、二階六三・五〇平方メートル)を新築居住したが、その費用は建築費四〇〇万円、その他の費用八〇万円(右建物の建築費の二割相当額)、以上、合計四八〇万円程度であるが、控訴人主張の借入金は右宅地及び居宅の取得のための総額(少なくとも)一、〇一二万円の支払いに充てられたものである。

したがって、右支払利息は本件係争年分のゴルフ用品販売の事業の所得の金額計算の必要経費に算入されるべきものではない。しかも、一般に収入と必要経費とは相互に連鎖的に関連しているのであるから、支払利息のみを取りあげて直ちにこれを必要経費に当たるとすることはできないため、控訴人の主張はそれ自体失当というべきである。

第三証拠

次のとおり付加するほかは、原判決事実欄「第六証拠関係」記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

一  控訴人

(一)  甲第一二、第一三号証、第一四号証の一ないし四、第一五ないし第三〇号証、第三一号証の一ないし三、第三二、第三三号証の各一、二、第三四号証。

(二)  当審証人鈴木文治、同染武男、同姜沂淑(第一、二回)、同金太圭、当審における控訴人本人。

(三)  乙第二五、第二六号証、第三〇ないし第三四号証の各成立を認め、第二七ないし第二九号証の成立は不知。

二  被控訴人

(一)  乙第二五ないし第三四号証。

(二)  甲第一二、第一三号証、第一四号証の一ないし四、第一五ないし第一七号証、第二一号証、第二七ないし第三〇号証、第三二、第三三号証の各一、二、第三四号証の成立は不知(第一六、第一七号証については原本の存在も不知)。第一八ないし第二〇号証、第二二ないし第二六号証、第三一号証の一ないし三の成立を認める。

理由

第一  当裁判所も本件各更正に控訴人主張の違法はないものと判断するが、その理由は、次のとおり付加・訂正するほかは、原判決「理由」欄一、二記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

1  二〇丁裏五、六行目の「乙第四、第五号証の各一ないし三記載のとおり」を、「別表四の1の(1)ないし(3)、同四の2の(1)ないし(3)記載のとおり」と改める。

2  別表四の次に、別表四の1(1)ないし(3)、同四の2の(1)ないし(3)を付加する。

3  二七丁裏七行目冒頭から八行目末尾までを次のとおり改める。

「なお、控訴人は経費の総額を、支払利息九八九、七五七円を含め計三、三六九、七五七円であると主張する(右支払利息が存在するとの当審における新たな主張が、いわゆる時期に遅れた攻撃禦方法であるといえないことは、後に一括して判断する。)ので、これについて検討する。

当審における証人鈴木文治の証言及びこれにより成立を認める甲第一二号証、当審における証人染武男の証言及びこれにより成立を認める甲第一三号証、当審における証人姜沂淑の証言(第一、二回)及び同証言(第一回)により成立を認める甲第一四号証の一、当審における証人金太圭の証言及びこれにより成立を認める甲第一五、第一七、第二一号証、当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は昭和三八年度において訴外御徒町商栄協同組合、同同和信用組合上野支店、同上野商睦協同組合、同東京ゴルフ輸入協同組合から金銭の借入をし、その支払利息は計九八九、七五七円であることが認められる。

ところで、右借入が控訴人の昭和三八年度におけるゴルフ用品販売の業務の用に供する資金の取得のためであることについては、当審における控訴人本人尋問の結果中にこれにそう部分がある。しかしながら、(イ)成立に争いのない乙第二五、第二六号証、弁論の全趣旨により成立を認める甲第二七号証、乙第二七号証ないし第二九号証及び弁論の全趣旨によると、控訴人はその住居の用に供する目的で、昭和三七年八月ごろ訴外石田基吉から文京区湯島四丁目一五一番二宅地九四・一四平方メートルを購入し、代金五一二万円、手数料一五万二、六〇〇円を出捐し、また、昭和三八年一月一六日ころ訴外遠藤建設株式会社に請負わせ同地上に新築した木造瓦葺二階建居宅床面積一階六三・七三平方メートル、二階六三・五〇平方メートルの家屋に入居し、その代金二、九九〇、六二〇円を負担したことが認められ、(ロ)上記の事実から、控訴人はそのころ右不動産取得税及び登録税並びに入居費用相当額を出捐したものと推認されること、及び(ハ)原審における証人金太圭の証言によると、控訴人は当時在日朝鮮人台東商工会会長の地位にあった立場上、しばしば会員から金融を依頼され、これに応ずるための借入をした状況にあったと認められ、以上の諸事実と対比して考えると、右当審における控訴人本人尋問の結果はたやすく措信できない。その他、右支払利息九八九、七五七円が経費中に含まれ、その総額が金三、三六九、七五九円になることを認めるに足りる証拠はない。」

4  三〇丁表三行目冒頭から五行目末尾までを次のとおり改める。

「なお、控訴人は、仕入金額を三九、八〇〇、〇〇〇円、経費の総額を支払利息一、四三七、六三二円を含め計四、六三七、六三二円と主張する(右支払利息が存在するとの当審における新たな主張が、いわゆる時期に遅れた攻撃防禦方法であるといえないことは、後に一括して判断する。)ので、これを検討する。

前掲甲第一二、同第一三、第一五、第一七、第二一号証、前掲当審における証人姜沂淑の証言(第一回)により成立を認める甲第一四号証の二、前掲当審における証人鈴木文治、同染武男、同姜沂淑(第一、二回)、同金太圭の各証言、当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は昭和三九年度において、訴外御徒町商栄協同組合、同同和信用組合上野支店、同上野商睦協同組合、同東京ゴルフ輸入協同組合から金銭の借入をし、その支払利息は計一、四三七、六三二円であることが認められ、右借入が控訴人の昭和三九年度におけるゴルフ用品販売の業務の用に供する資金の取得のためであることについては、当審における控訴人本人尋問の結果中にそれにそう部分があるが、これをたやすく措信できないことは前説示と同様である。その他、仕入金額が金三九、八〇〇、〇〇〇円であること及び右支払利息計一、四三七、六三二円が経費中に含まれ、その総額が金四、六三七、六三二円となることを認めるに足りる証拠はない。」

5  三二丁表八行目の「七二、七五五、七一二円」を、「七二、七七五、七一二円」と改める。

6  三二丁裏三行目冒頭から五行目末尾までを次のとおり改める。

「なお、控訴人は、売上金額は金七七、五〇〇、〇〇〇円であり、一般経費の総額は、支払利息計二、五五九、五五八円を含めて金四、五七一、八〇八円となる旨主張する(右支払利息が存在するとの当審における新たな主張が、いわゆる時期に遅れた攻撃方法であるといえないことは後に一括して判断する。)ので、これを検討する。

前掲甲第一二、第一三、第一五、第一七、第二一号証、前掲当審における証人姜沂淑の証言(第一回)により成立を認める甲第一四号証の三、前掲当審における証人鈴木文治、同染武男、同姜沂淑(第一、二回)、同金太圭の各証言、前掲当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は昭和四〇年度において訴外御徒町商栄協同組合、同同和信用組合上野支店、同上野商睦協同組合、同東京ゴルフ輸入協同組合から金銭の借入をし、その支払利息は計二、五五九、五五八円であることが認められ、右借入が控訴人の昭和四〇年度におけるゴルフ用品販売の用に供する資金の取得のためであることについては、当審における控訴人本人尋問の結果中にこれにそう部分があるが、これをたやすく措信できないものであることは前説示と同様である。その他、売上金額が金七七、五〇〇、〇〇〇円であることについては、前掲乙第一号証の一(収支計算書)中のこれにそう記載は、その裏付けとなる資料がないのでこれを採用せず、他にこれを認めるに足る証拠はない。また右支払利息計二、五五九、五五八円が一般経費中に含まれ、その総額が金四、五七一、八〇八円となることを認めるに足りる証拠もない。」

7  三三丁表八行目冒頭から九行目末尾までを次のとおり改める。

「控訴人は、仕入金額二、一〇二、〇八九円、一般経費二、九三五、六〇〇円と主張し、前掲乙第二号証の一(収支計算書)にはこれにそう記載があるが、その裏付となる資料はないので、これを採用することはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。」

8  三三丁裏一行目末尾の次に、行を換えて、次のとおり付加する。

「三 被控訴人において、控訴人の昭和三八年分ないし同四〇年分の各借入金の支払利息が存在するとの当審における新たな主張は時機に遅れた攻撃防禦方法であるから却下されるべきである旨申立てるところであるが、本件記録によれば、本件訴訟は、第一審において昭和四四年三月二七日から昭和五〇年一一月二五日までの間計三八回の口頭弁論期日が重ねられ、次いで、当審において、昭和五一年八月二四日から昭和五二年六月九日まで計六回の口頭弁論期日が重ねられていたところ、控訴人は当審における右昭和五二年六月九日の第六回口頭弁論期日において、初めて、右支払利息の存在の主張をし、かつ、その立証として、甲第一二、第一三号証、第一四号証の一ないし四、第一五号証を提出し、次いで昭和五二年一一月二四日の第八回口頭弁論期日に同じくその立証として甲第一六、第一七号証を提出するに至ったことが認められるところ、当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は右文書を昭和四二年二、三月ころ入手していた(なお、甲第一七号証の作成日付は昭和五二年一一月二二日となっているが、上記と同じころに入手していた。)ことが認められ、右訴訟手続の経過に照らすと、控訴人の右主張、立証は時機に遅れた攻撃防禦方法であるといわざるをえない。しかし、また、右訴訟手続の経過、殊に被控訴人の主張における控訴人の所得の推計の一部に前示合理性を欠く点が存すると考えたことからすると、控訴人において右新たな主張、立証をまたずにその他の従前の主張、立証をもって足るものと考えたとしても、必ずしも重大な過失あるものと断ずることは相当でない。してみると、控訴人の右新たな主張、立証はこれを却下することができないから、被控訴人の右申立は採用しない。」

第二  以上に説示したとおり、本件各更正には控訴人主張の違法はなく、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきであり、これと同趣旨に出た原判決は相当であって、控訴人の本件控訴は理由がない。よって、民訴法三八四条一項により本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡垣学 裁判官 磯部喬 裁判官 大塚一郎)

別表四の1の(1)

昭和38年分ゴルフ用品卸し小売業者調査表

〈省略〉

別表四の1の(2)

昭和39年分ゴルフ用品卸し小売業者調査表

〈省略〉

別表四の1の(3)

昭和40年分ゴルフ用品卸し小売業者調査表

〈省略〉

別表四の2の(1)

東京国税局長 殿

昭和38年分喫茶店業者調査表

〈省略〉

別表四の2の(2)

昭和39年分喫茶店業者調査表

〈省略〉

別表四の2の(3)

昭和40年分喫茶店業者調査表

〈省略〉

昭和40年分喫茶店業者調査表

〈省略〉

別表八の1

仕入先別月残高一覧表

〈省略〉

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